実家では1時間経っても温かかったのに、今の家は30分で冷める。
同じ設定温度で沸かしているのに、家によって冷め方が違う——。これは気のせいではありません。
浴槽そのものの材質と構造で、お湯の冷め方は変わります。
なぜ浴槽で冷め方が変わるのか
お湯が冷めるのは、熱が外へ逃げるからです。逃げ道は主に3つあります。
| 逃げ道 | どこから | 効く対策 |
|---|---|---|
| 水面からの蒸発 | 湯の表面 | フタ・保温シート |
| 浴槽の壁を通る伝導 | 浴槽の底・側面 | 材質・断熱構造 |
| 浴室の空気へ放熱 | 浴室全体 | 浴室の断熱・暖房 |
このうち、いちばん大きいのは水面からの蒸発です。フタをするだけで冷め方がはっきり変わるのは、ここを止めているからです。
次に大きいのが浴槽の壁を通る伝導。ここで材質と構造の差が出ます。
材質別に見ると、どう違うのか
家庭用の浴槽で多いのは次の4種類です。
| 材質 | 熱の伝わりやすさ | 特徴 |
|---|---|---|
| FRP(ガラス繊維強化プラスチック) | 伝わりにくい | もっとも普及。安価で軽い。表面に細かい傷がつきやすい |
| 人工大理石 | 伝わりにくい | 質感がよく傷に強い。FRPより高価 |
| ステンレス | 伝わりやすい | 丈夫で衛生的。金属なので熱が逃げやすい |
| ホーロー | 伝わりやすい | 鋼板や鋳鉄にガラス質を焼付け。重厚だが金属基材のため熱が逃げやすい |
ステンレスやホーローは金属が基材なので、樹脂系より熱を伝えます。ただしこれは断熱材の有無で大きく変わります。
近年のユニットバスには浴槽の外側を断熱材で覆った「高断熱浴槽」があります。これだと材質による差は小さくなります。逆に、断熱材のない浴槽が冷たいコンクリートや土間に直接載っていると、そこから熱が抜け続けます。
ご自宅の浴槽が高断熱仕様かどうかは、住宅の図面や仕様書、リフォーム時の見積書で確認できます。分からない場合は施工業者に聞くのが確実です。
今日からできる、お金のかからない対策
浴槽を替えるのは大工事です。まずは費用をかけずにできることから。
- 入浴していない間はフタを閉める。いちばん効きます。家族が入る間の待ち時間も、開けっぱなしにしない
- 湯面に保温シートを浮かべる。フタの下にもう一枚。アルミ製のものが安価で手に入ります
- 入浴前に浴室を暖める。冷えた浴室に湯を張ると、そこへ熱が逃げます。ヒートショック対策としても有効です
- 浴室の窓に断熱シートを貼る。窓は熱が抜けやすい場所です
- 湯量を欲張らない。多いほど温かいのは事実ですが、沸かす量も増えます。肩まで浸かる必要がなければ、少なめでも静水圧と浮力は働きます
- 家族の入浴間隔を詰める。段取りの問題ですが、冷める時間そのものを短くできます
特に1つ目と2つ目は、数百円〜数千円でできて効果が体感しやすい対策です。
それでも冷めるなら
対策をしても「家族の入浴時間がバラバラで、結局追い焚きばかり」という場合。
ここは浴槽の性能ではなく、段取りの問題です。冷めることを前提に、温度を保ち続けるという考え方もあります。
当店で扱うバスポカ EXecoは、浴槽の湯をろ過・殺菌しながら循環させ、設定温度を保ち続ける機器です。冷めてから追い焚きするのではなく、冷める前に保温するという方式です。
- 沸かす手順と待ち時間がなくなる
- 家族が時間をずらしても湯温が保たれる
- 浴槽の材質・断熱性能に関わらず使える
ただし、手間はゼロになりません。ろ過材・紫外線殺菌灯の交換(1〜2年ごと)と配管洗浄が必要です。毎日の段取りが軽くなるかわりに、年単位の管理が加わります。指定された入浴剤以外は使えないという制約もあります。
この点は先に知っておいていただきたいので、関連記事にまとめています。
「24時間風呂って不衛生じゃないの?」に正直に答えます →
入浴剤を使いたい人へ ― 循環風呂での注意点 →
まとめ
- 冷める原因は蒸発・浴槽の壁・浴室の空気の3つ。いちばん大きいのは水面からの蒸発
- 材質ではステンレス・ホーローが熱を伝えやすい。ただし断熱材の有無で差は大きく変わります
- まずはフタと保温シートから。数百円で始められて、効果が分かりやすい対策です
ご自宅の浴槽の状態を見れば、どの対策が効きそうか判断できます。お気軽にご相談ください。