24時間風呂の話をすると、ほぼ必ず同じ質問が返ってきます。
「同じお湯を使い続けるんでしょう? 汚くないんですか」
もっともな疑問だと思います。そして、この不安には根拠のある部分と、誤解の部分が混ざっています。都合の悪いところも含めて、正直に整理します。
不安の出どころ ― 過去に何があったのか
この不安には、はっきりした背景があります。
1990年代から2000年代にかけて、レジオネラ属菌による健康被害が繰り返し報道されました。
ただ、ここは正確に分けておく必要があります。死者を含む大規模な集団感染として報道されたのは、温泉や公衆浴場といった業務用の入浴施設の事例です。2002年の宮崎県の温泉施設の事例などが代表的なもので、家庭用の24時間風呂で同じ規模の被害が起きたわけではありません。
一方で、家庭用についても1990年代に当時の厚生省が調査を行い、管理が不十分な家庭用循環式浴槽からレジオネラ属菌が検出されたという報告が出ています。感染事例の報告数は業務用に比べてはるかに少ないものの、「家庭用ではまったく問題がなかった」と言えるわけでもありません。
その後、循環式浴槽については行政による衛生管理の指針が整備され、業界側も殺菌方式や管理方法を見直してきました。ただ、当時の報道の印象は今も残っており、「24時間風呂=不衛生」というイメージの出どころはここです。
そのうえで押さえておきたいのは、問題の原因は「同じお湯を使うこと」そのものではなく、管理がされていなかったことだという点です。レジオネラ属菌は自然界の土壌や淡水に広く存在する菌で、条件が揃えば循環式でない浴槽でも増えます。逆に、条件を揃えなければ増えません。
循環風呂の中で何が行われているのか
菌が増える条件は、大きく3つです。①適した水温、②栄養(汚れ)、③滞留。循環風呂の仕組みは、このうち②と③に対応するように作られています。
| 工程 | 何をしているか | 対応する条件 |
|---|---|---|
| 循環 | ポンプで浴槽の湯を常に動かし続ける | ③滞留を防ぐ |
| ろ過 | ろ過材で皮脂・湯垢などの汚れを取り除く | ②栄養を減らす |
| 殺菌 | 紫外線殺菌灯などで菌の増殖を抑える | 菌そのものへの対応 |
| 加温 | 設定温度を保つ | —(快適性) |
バスポカの場合、この4工程を継続的に行っています。汚れを取り、湯を止めず、殺菌灯を通す。放置された溜め湯とは、そもそも状態が違うということです。
逆に言えば、この3工程が機能していなければ意味がありません。ろ過材が目詰まりしていれば汚れは取れず、殺菌灯が寿命を過ぎていれば殺菌されません。だからこそメーカーは交換周期を定めています。
正直に言うと、手間はゼロになりません
ここが一番お伝えしたいところです。
24時間風呂を入れても、掃除や管理が完全になくなるわけではありません。実際に必要なのは、次のようなことです。
- ろ過材・紫外線殺菌灯の定期交換(バスポカは1〜2年ごとが目安)。ここを飛ばすと、仕組みが機能しません
- 浴槽の湯の入れ替え。頻度は下がりますが、ゼロにはなりません
- 配管の洗浄。定期的に行う必要があります
- 入浴前に体を洗う。持ち込む汚れが減れば、ろ過の負担も減ります
- 指定された入浴剤以外は使わない。ろ過材や配管に影響する場合があります
「入れれば何もしなくていい」という機器ではありません。張り替えと追い焚きの手間が、定期メンテナンスに置き換わる——これが実態に近い表現です。
そのうえで、日々の負担がどう変わるかというと、こうなります。湯を沸かす手順が不要になり、追い焚きの待ち時間がなくなり、家族が時間をずらしても湯温が保たれる。毎日の段取りが軽くなるかわりに、年単位の管理が加わるという交換です。
今日からできる、循環風呂の有無に関わらない衛生管理
お金をかけずにできることです。これは24時間風呂を使っていない方にも当てはまります。
- 入浴前に体を洗う。浴槽に持ち込む汚れが減ります。順番を変えるだけで効果があります
- 浴槽にお湯を張ったまま長く放置しない。翌日の洗濯に使う場合も、その日のうちに
- 浴槽のヘリと排水口を、週に一度は洗う。ぬめりは菌の温床になります
- 浴室の換気を続ける。湿気が残るとカビが増えます。入浴後は換気扇を数時間回す
- 追い焚き配管も洗う。追い焚き機能付きの浴槽は、配管内に汚れが溜まります。専用洗浄剤で定期的に
最後の項目は見落とされがちです。循環風呂でなくても、追い焚き配管の中は洗わないと汚れが溜まります。「24時間風呂だけが不衛生」という話ではないということです。
まとめ
- 不安の出どころは1990年代の実際の事例。ただし原因は「同じ湯を使うこと」ではなく管理がされていなかったこと
- 循環・ろ過・殺菌は菌が増える条件に対応する仕組み。ただしろ過材と殺菌灯を交換しなければ機能しません
- 手間はゼロになりません。毎日の段取りが軽くなるかわりに、年単位の管理が加わります
実物を見ていただくのが一番わかりやすいと思います。ろ過材がどうなっているか、交換がどれくらいの作業かも含めて、ご説明します。