24時間風呂の話をすると、こう言われることがあります。
「うちは二人だけだから、そんなに元は取れないですよね」
家族が多いほど得——たしかに、そういう説明のされ方が一般的です。ただ、実際にご相談を受けていると、少人数のお宅ならではの事情があることに気づきます。今回はその話です。
「家族が多いほど得」は、何の話なのか
これは光熱費・水道代の節約という一点の話です。
4人家族が入浴時間をずらして入れば、追い焚きの回数が多くなります。そこが減れば節約額は大きい。逆に一人なら追い焚きは1回で済むので、削減できる金額は小さくなります。
ここは事実です。金額の節約という軸だけで見れば、少人数世帯のメリットは小さい——そう申し上げるべきだと思います。
少人数世帯で起きていること
ご相談の中でよく聞くのが、この3つです。
① 一人分のために沸かすのが、割に合わない気がする
4人が入るなら「沸かす価値がある」と感じられます。でも自分ひとりのために200リットル沸かすとなると、手間と量に対して割に合わない感覚が出てきます。
結果、シャワーで済ませる。これが習慣になります。
② 帰宅時間が読めないと、沸かすタイミングを逃す
家族が複数いれば、誰かが先に沸かしてくれることがあります。一人暮らしや共働きの二人暮らしでは、沸かす人が自分しかいません。
21時に帰って、それから沸かして15分待つ。この15分が、疲れている日には重くのしかかります。
③ 掃除も自分だけ
湯を張り替えれば洗う必要があります。頻度が高ければ、その回数だけ自分がやることになります。少人数だと汚れは少ないのですが、作業の回数は減りません。
この3つに共通しているのは、金額ではなく「段取りの重さ」だということです。そして段取りが重いと、湯船に入る回数が落ちます。
お湯に浸かることで得られる作用(温熱・静水圧・浮力)は、入らなければゼロです。節約額が小さいことと、入浴の回数が減っていることは、別の問題として考える必要があります。
今日からできる、湯船に入る回数を増やす工夫
機器を検討する前に、お金をかけずにできることがあります。
- 湯量を減らす。半身浴くらいの量でも、静水圧と浮力は働きます。一人なら満タンにする必要はありません
- 帰宅したら真っ先に給湯スイッチを入れる。着替えや洗濯を回している間に溜まります。待ち時間を作らないことがコツです
- 入る日を決めてしまう。「毎日」を目標にすると挫折します。週2〜3日から
- 湯温は38〜40℃。ぬるめのほうが長く入れて、身体への負担も少なくなります
- 翌日の残り湯を洗濯に使う。水道代の心配が軽くなり、「沸かすのがもったいない」感覚が減ります
特に効くのは2つ目です。「沸かしてから待つ」を「他のことをしている間に溜まる」に変えるだけで、心理的な負担は変わります。
正直に言うと、向かない場合もあります
そのうえで、24時間風呂という選択肢の話をします。
循環して設定温度を保つ機器なので、沸かす手順と待ち時間がなくなります。帰宅が遅くなった日でも、そのまま入れる。「入るか、シャワーで済ませるか」という判断そのものが減ります。
ここが少人数世帯にとっての意味です。節約額ではなく、入浴の回数を戻すための機器として考えていただくのが実態に近いと思います。
ただし、向かない場合もあります。正直に書いておきます。
- そもそも湯船に入りたいと思っていない場合。シャワーで満足しているなら、この機器の意味はありません
- 年単位の管理をしたくない場合。ろ過材・紫外線殺菌灯の交換(1〜2年ごと)と配管洗浄が必要です。毎日の段取りが軽くなるかわりに、この管理が加わります
- 在宅期間が短い場合。長期出張や単身赴任で家を空ける期間が長いと、稼働させる意味が薄くなります
- 賃貸で設置が難しい場合。浴槽の形状や設置スペースの条件があります
「元が取れるか」で聞かれると、少人数世帯では答えにくいのが本音です。「毎日湯船に入りたいのに、面倒で入れていない」——この状態にあるかどうかが判断の分かれ目だと考えています。
まとめ
- 「家族が多いほど得」は光熱費の節約という一点の話。少人数世帯では削減額は小さくなります
- 少人数のお宅で起きているのは「段取りが重くて、湯船に入る回数が減っている」という別の問題です
- まずは帰宅後すぐ給湯・湯量を減らす・週2〜3日から。それでも入れていないなら、選択肢として検討する価値があります
ご家庭の状況をお聞きすれば、向くかどうかは率直にお伝えします。「うちには向きません」とお答えすることもあります。お気軽にご相談ください。