何十年も使ってきた土鍋。冬の鍋、炊き込みごはん、湯豆腐。
コンロを買い替えるとき、「これが使えなくなるなら考え直したい」と思う方は少なくありません。実際、IHにしてから土鍋を戸棚の奥にしまったまま、という話もよく聞きます。
土鍋を手放さずに済む方法を、順に整理します。
なぜ土鍋はIHで使えないのか
理由は加熱の仕組みにあります。
IHは鍋そのものを発熱させる方式です。コイルが磁力を発生させ、その磁力に反応する金属が熱を持ちます。つまり磁力に反応しない素材は、そもそも熱くなりません。
土鍋の素材は陶土。金属ではないので、磁力に反応しません。同じ理由でアルミ鍋、銅鍋、耐熱ガラス鍋も使えません。
逆に言えば、外から熱を伝える方式なら土鍋は使えます。ガスの炎も、ラジエントヒーターの赤外線も、鍋の素材を問いません。
今日からできる、お金をかけない解決策
すでにIHをお使いで、土鍋を諦めている場合。買い替えの前にできることがあります。
- カセットコンロを使う。1台3,000〜5,000円程度。食卓で鍋を囲むなら、むしろこちらのほうが便利です。防災用としても持っておいて損はありません
- 土鍋を「炊飯・煮込み専用」から外して考える。オーブンや魚焼きグリルで使える土鍋もあります(製品の耐熱表示をご確認ください)
- 使う頻度を数えてみる。年に何回使うか。冬場だけなら、カセットコンロで十分足りることが多いです
「毎日使いたい」のか「冬に何度か使えればいい」のか。ここで必要な解決策が変わります。
「IH対応土鍋」という選択肢の実際
IH対応をうたう土鍋も市販されています。底に金属板を貼り付けたり、発熱体を組み込んだ構造です。
ただし、いくつか知っておいたほうがいい点があります。
- 今お持ちの土鍋は使えません。あくまで新しく買う場合の選択肢です
- 直火に使えない製品もあります。IH専用か、両方対応か。購入前に表示を確認してください
- 底の金属板が劣化することがあります。長く使う前提なら、この点も含めて検討を
「新しい土鍋でも構わない」ならIH対応土鍋、「今の土鍋を使い続けたい」なら加熱方式のほうを変える。この判断になります。
加熱方式ごと見直すなら
今の土鍋をそのまま使いたい場合、選択肢はガスかラジエントヒーターです。
ラジエントヒーターは、天板下のヒーターが赤外線を出し、その熱で加熱する方式です。電磁誘導コイルを使わないため、鍋底の素材を選びません。土鍋・中華鍋・アルミ鍋・耐熱ガラス鍋も、そのまま使えます。
当店では2つのタイプを扱っています。
- ビルトインタイプ:キッチンに組み込む形。ガスコンロやIHからの入れ替えに
- 卓上タイプ:工事不要で置くだけ。食卓で土鍋を囲む使い方にも合います
ただし、ラジエントにも向かない場面はあります。IHのような瞬間的な火力調整はできず、温まるまでに時間がかかります。強火で一気に炒める調理が多い方には、この点が合わない場合があります。
まとめ
- 土鍋がIHで使えないのは、陶土が磁力に反応しないから。外から熱を伝える方式なら使えます
- まずはカセットコンロと使う頻度の確認から。年に数回ならこれで足ります
- 今の土鍋を使い続けたいなら、ガスかラジエント。卓上タイプを1台足す方法もあります
お手持ちの土鍋を持ってきていただければ、実際に加熱して確かめられます。お気軽にお声がけください。