煮物を作るとき、火を止めたあと鍋をそのまま置いておく。翌朝、味が染みている。
これは料理をする方なら経験があると思います。ただ、これを意図的にやっているかどうかで、結果と光熱費が変わります。
「火を止めてからが本番」という話です。
余熱で何が起きているのか
火を止めても、鍋と中身は熱を持っています。その熱が冷めていく間に、調理は続いています。
火を止めてから起きていること
1
中心まで熱が伝わる
表面と中心の温度差が縮まる。火にかけ続けると表面だけ煮崩れる
2
味が入っていく
温度が下がる過程で、煮汁が食材の内側へ移動します
3
加熱時間が短くて済む
火を使う時間が減るぶん、ガス代・電気代も下がります
余熱は「手抜き」ではなく、加熱の一部という考え方です。
ポイントは、余熱がどれくらい続くかは「鍋」と「熱源」で変わるということです。薄いアルミ鍋はすぐ冷めます。厚手の鋳物鍋や土鍋は長く持ちます。
今日からできる、余熱の使い方
道具を変えずにできることです。
- 煮物は「沸いたら弱火5分、あとは蓋をして放置」。カレー・シチュー・肉じゃがはこれで十分火が通ります
- ゆで卵は火を止めてから待つ。沸騰したら火を止め、蓋をして7〜10分。ガスを使う時間は数分で済みます
- パスタは表示時間の1分前に湯を止める。蓋をして放置し、余熱で仕上げる方法もあります
- ごはんは炊けてから10分蒸らす。すぐ開けると水分が飛びます
- 茹で野菜は湯から上げるタイミングを1段早く。上げたあとも熱で進みます
- 肉は焼いたあと数分置く。切るのを待つと、肉汁が落ち着きます
共通しているのは「予定より早く火を止める」ということ。慣れるまでは短めにして、足りなければ足すのが安全です。
なお、余熱に頼りすぎないのも大事です。鶏肉・豚肉・魚などは中心部まで十分加熱してください。心配な場合は、余熱ではなく火にかけて確認してから止めてください。
蓄熱しやすい道具という選択肢
余熱を活かすなら、冷めにくいほうが有利です。ここは鍋の材質と、熱源の両方に関わります。
鍋については、厚手のもの・土鍋・鋳物鍋のほうが蓄熱します。ただしIHでは土鍋が使えないなど、熱源によって選べる鍋が変わります。
熱源そのものでは、ラジエントヒーターは天板が赤外線で熱くなる方式なので、消灯後も天板に熱が残ります。この残り熱を余熱調理に使うという考え方があります。鍋の材質を選ばないため、土鍋や厚手の鍋もそのまま使えます。
ただし、これは裏を返せば消灯後も天板が熱いままということです。お子さまがいるご家庭では、この点に注意が必要です。
光熱費の見直しという観点では、加熱時間が減れば費用も減るという単純な話になります。ご家庭全体の水まわり・光熱費を一度計算してみると、判断材料になります。
まとめ
- 余熱は加熱の一部。火を止めてからも、中心まで熱が伝わり味が入っていきます
- コツは「予定より早く火を止める」。慣れるまでは短めにして、足りなければ足す
- ただし肉・魚は中心まで十分加熱を。余熱に頼りすぎないでください
- 蓄熱しやすい鍋・熱源のほうが有利ですが、消灯後も熱いという注意点と表裏です
実際にどのくらい熱が残るかは、触っていただくのが早いと思います。お気軽にお声がけください。