在宅で介護をされている方から、こんな話を聞くことがあります。
「お風呂の日は、それだけで一日が終わる」
柔道整復師として16年、ご高齢の方の身体に触れてきましたが、入浴介助の大変さは施術の現場でも何度も伺いました。そして共通していたのが、「時間に追われる」という感覚でした。
今回は、その時間がどこに使われているのかを分解してみます。
なぜ「時間との戦い」になるのか
入浴介助の時間を分解すると、実際に湯に浸かっている時間はごく一部だと分かります。
| 工程 | やること | 時間の性質 |
|---|---|---|
| 準備 | 浴槽を洗う/湯を張る/脱衣所を暖める/タオル・着替えの用意 | 待ち時間が発生 |
| 移動・脱衣 | 浴室まで移動/衣類を脱ぐ介助 | 体力を使う |
| 洗身・入浴 | 洗う/湯に浸かる | ここが本来の目的 |
| 着衣・移動 | 拭く/着替え/部屋へ戻る | 冷えないよう急ぐ |
| 後片付け | 浴槽・浴室の掃除/洗濯 | 介助後に残る |
ご覧のとおり、前後の工程のほうが長いのです。そして厄介なのは、これらが「急がなければならない」性質を持っていることです。
ご本人を待たせれば冷えてしまう。冷えれば負担になる。だから急ぐ。急ぐと介助する側も疲れる——この構造が「時間との戦い」の正体だと考えています。
とくに厄介なのが「湯温」の問題
介護での入浴で、段取りが崩れやすいのはここです。
入浴介助は、予定どおりに進まないのが普通です。着替えに手間取る、トイレに行きたくなる、体調が今ひとつで少し休む。その間に湯は冷めていきます。
冷めたら追い焚きをする。でも追い焚きには時間がかかる。待つ間にご本人が冷える。結果として「今日はやめておこう」となる——これもよく聞く話です。
もうひとつ。入浴を1回で終わらせなければならないという前提も、時間を圧迫します。「今日は洗身だけ」「明日は湯に浸かるだけ」と分けられれば楽なのですが、毎回湯を沸かす前提だとそれができません。
今日からできる、段取りの見直し
道具を買わずにできることから。介助の負担を減らす工夫です。
- 脱衣所と浴室を先に暖めておく。これが最優先です。急ぐ理由の多くは「冷やしたくない」から来ています。暖まっていれば、その前提が変わります
- 着替えとタオルを、手の届く位置に全部並べる。取りに行く動作が一番時間を食います
- 湯を張りながら、他の準備をする。待つのではなく、並行して進めます
- 「今日はここまで」を決めてから始める。全部やろうとすると時間が読めません
- 介助する側の腰を守る。浴室用の椅子、滑り止めマット、手すり。ご本人のためだけでなく、介助する方の身体を守るためのものです
- 訪問入浴・デイサービスの入浴を併用する。すべてをご家庭で担う必要はありません。ケアマネジャーにご相談ください
最後の項目を、あえて入れました。抱え込まないことが一番の負担軽減だと、現場で何度も感じました。
湯温を保つという選択肢
そのうえで、道具の話をします。
バスポカ EXecoは、浴槽の湯を循環・ろ過しながら設定温度を保つ機器です。介護の場面で変わるのは、次の点です。
- 湯を沸かす手順と待ち時間がなくなる。準備の工程が短くなります
- 段取りが崩れても湯温が保たれる。休憩を挟んでも、冷めた湯に入れる心配が減ります
- 浴槽洗いの回数が減る。かがむ動作が減るので、介助する側の腰の負担にも関わります
- 「入れる日」を分けやすくなる。毎回沸かす前提がなくなるためです
時間そのものを短縮する機器ではありません。「急がなくてよくなる」ための道具と考えていただくのが実態に近いと思います。
また、ご本人の状態によって入浴の可否は変わります。入浴の方法・頻度については、必ず主治医やケアマネジャーにご相談のうえご判断ください。
ろ過材・紫外線殺菌灯の交換(1〜2年ごと)と配管洗浄が必要です。指定された入浴剤以外は使用できません。この管理が難しい状況であれば、無理におすすめしません。
まとめ
- 入浴介助の時間は、湯に浸かる時間より前後の工程のほうが長い。そして「急がなければならない」構造になっています
- まずは脱衣所と浴室を暖めることから。急ぐ理由そのものが減ります
- 抱え込まないこと。訪問入浴・デイサービスの併用も含めて、ケアマネジャーにご相談ください
- 湯温維持は「時間を短縮する」より「急がなくてよくなる」ための選択肢です
ご自宅の浴室環境を見せていただければ、道具以外の工夫もお伝えできます。「機器は要らない」というご相談でも構いません。