水道水、ペットボトル、ウォーターサーバー、浄水器、整水器。
どれも「家庭で飲む水」ですが、比べるときに金額だけを並べても判断できません。手間はどうか、料理にも使えるのか、置き場所は要るのか——見る角度で答えが変わります。
今回は6種類を、複数の角度から並べてみました。どれが正解という話ではなく、ご家庭の事情に合うものを選ぶための材料として読んでください。
ただ、その前に。「水」の使いみちを、少し広く捉えておく必要があります。
そもそも「水」は、飲む分だけじゃない
比較の前に、ひとつ抜けがちな視点があります。
「水」と言うと、コップに注いで飲むものを思い浮かべる方が多いはずです。でも実際に一日を振り返ってみてください。
- 朝、ごはんを炊く(研ぎ水・炊き水)
- お味噌汁、スープ、煮物、鍋
- 麺を茹でる、野菜を洗う、下ごしらえ
- 麦茶やお茶をつくる、お子さんの水筒に詰める
- コーヒー、お酒の割り水
ほとんどの料理は、水からつくられています。人の体の約60〜70%が水分だとよく言われますが、その水分は飲み水だけから入っているわけではありません。
厚生労働省の「健康のため水を飲もう」推進運動では、1日に必要な水分約2.5Lの内訳として、食事から摂る水分が約1.0L、体内でつくられる代謝水が約0.3L、飲み水として摂るのが約1.2Lとされています。つまり口から入る水分のうち、およそ半分は食事からということです。
ごはんを炊く水、だしをとる水の質は、飲み水と同じくらい体に入っているということになります。
そう考えると、ひとつ気づくことがあります。毎日の食事をつくる水を選んでいるのは、家族の中で台所に立っている人だということ。ごはんを炊く、味噌汁をつくる、麦茶をつくって水筒に詰める——そのすべてが、家族が口にする水の選択になっています。
今つかっているお水は、ご家族やお子さんのことも含めて選んだものでしょうか。それとも、なんとなく続いているだけでしょうか。
どちらでも構いません。ただ、一度そこを立ち止まって考えてみる価値はあると思います。
この視点を持つと、比較の前提が変わります。
コスト面:使う量が4倍違えば、判断も変わる
厚生労働省の「健康のため水を飲もう」推進運動では、1日に必要な水分量は約2.5L、そのうち飲み水として摂るのが約1.2Lとされています。4人家族なら飲用で1日およそ5L。ここに調理が加わると、1日20L前後になるご家庭も珍しくありません。
つまり「飲用だけ」で計算するか、「料理も含めて」で計算するかで、金額は4倍前後変わるということです。
| 使い方(4人家族) | ミネラルウォーター | つくるタイプ |
|---|---|---|
| 飲用のみ(5L/日) | 年 約9万円 | 年 約1万円前後 |
| 飲用+料理(20L/日) | 年 約36万円 | 年 約4万円前後 |
だからこそ、多くのご家庭が「飲む分だけペットボトル、料理は水道水」という使い分けに落ち着きます。年36万円は現実的に続けられる金額ではないからです。
逆に言えば、蛇口でつくるタイプは料理に使っても金額がほとんど変わらないのが構造上の強みになります。たとえば還元粋の場合、1日22L使用した場合で1Lあたり約5円という試算です。飲用と調理用を分けずに使っても、家計への負担が増えにくい構造になっています。
「気兼ねなく使えるかどうか」は、コストの話でもあるということです。
健康面:どう考えるのが妥当か
ここは慎重に書きます。
「料理に使う水を変えれば健康になる」という言い方はできません。整水器(電解水素水生成器)は家庭用管理医療機器ですが、認められている効能は「胃腸症状の改善」の範囲に限られます。それ以外の健康効果をお約束するものではありません。
そのうえで言えるのは、こういうことです。毎日いちばん多く口にするものが水であるという事実。そして、それが飲み水だけでなく料理からも入っているという事実。だとすれば、どの水を使うかを一度考えてみる価値はある——ここまでが、事実にもとづいて言えることです。
味の面では、体感しやすい違いもあります。ごはんの炊き上がり、お出汁の出方、お茶の色。これは効能ではなく調理の話なので、実際に試して確かめていただくのがいちばん確実です。
では、6種類を横に並べてみる
金額は一般的な目安です(1Lあたり/飲用用途)。実際の価格は商品・契約・使用量によって変わります。
| 種類 | 料金の目安(1Lあたり) | 支払いの続き方 | 手間 | 料理に使えるか |
|---|---|---|---|---|
| 水道水 | 約0.2円 | 使った分だけ | なし | ◯ 使い放題 |
| ミネラルウォーター | 約50〜75円 | ずっと続く | 買う・運ぶ・捨てる | △ 割高になる |
| サーバー(ガロンタンク) | 約100〜130円 | ずっと続く | ボトル交換・置き場所 | ✕ 現実的でない |
| サーバー(浄水タイプ) | 定額 月3,000〜5,000円前後 1Lあたりは使用量で変動(例:月150L使用で約20〜33円) | ずっと続く | 置き場所・メンテ | △ 量に限りあり |
| 浄水器 | 約2〜10円 | 本体を払い終えたら終わる | カートリッジ交換 | ◯ 使い放題 |
| 整水器 | 約5〜10円 | 本体を払い終えたら終わる | カートリッジ交換 | ◯ 使い放題 |
ここで見えてくるのは、金額の大小より「払い終わりがあるか、ないか」という構造の違いです。買い続けるタイプは使う限り支払いが続き、つくるタイプは初期費用のかわりに本体を払い終えれば以降はカートリッジ代だけになります。
角度を変えると、順位が入れ替わる
同じ6種類を、別の軸で見てみます。
| 角度 | いちばん有利 | いちばん不利 |
|---|---|---|
| 初期費用の安さ | 水道水・ミネラルウォーター | 浄水器・整水器 |
| 10年後の総額 | 水道水 次に安いのは浄水器・整水器 | サーバー(ガロンタンク) |
| 手間のなさ | 水道水・浄水器・整水器 | サーバー(ガロンタンク) 重い・置き場所が必要 |
| 災害・停電時 | ミネラルウォーター(備蓄可) | 電気で動く機器はすべて |
| 設置のいらなさ | ミネラルウォーター ただし箱買いのストック場所は必要 | 整水器・セントラル浄水器 |
| 賃貸での導入しやすさ | ミネラルウォーター・サーバー | セントラル浄水器 |
| 置き場所のいらなさ | 水道水・浄水器・整水器 | サーバー・ミネラルウォーター |
| つくれる水の種類 | 整水器 1台で3種類(電解水素水/電解酸性水/浄水) | 他はすべて1種類 |
| 法的な区分 | 整水器 家庭用管理医療機器。効能は胃腸症状の改善の範囲 | 他は清涼飲料水・器具の区分 |
停電時はどれも万能ではありません。電気で動く機器は使えなくなるため、災害用にペットボトルを少し備蓄しておくのは、どの方式を選んでも合理的です。ここは正直にお伝えしておきます。
法的な区分で見ると、いちばんはっきり分かれる
意外と知られていないのが、この軸です。
- ミネラルウォーター・サーバーの水:食品衛生法上の清涼飲料水
- 浄水器:家庭用品品質表示法の対象。ろ過する器具で、医療機器ではありません
- 整水器:医薬品医療機器等法にもとづく家庭用管理医療機器(連続式電解水生成器)。認められている効能は「胃腸症状の改善」の範囲に限られます
ここで大事なのは、「管理医療機器だから万能」ではないということ。認証されているのは上記の範囲だけです。逆に、それ以上のことを謳っている商品があれば、その表現自体を疑ったほうがいいという判断材料にもなります。
その他、よく見かける水の話
ついでに、比較表に入れにくいものにも触れておきます。
- セントラル浄水器:家全体の給水管の元でろ過する方式。お風呂や洗面所も含めて浄水になるのが利点ですが、設置工事が大きく、賃貸では基本的に導入できません。持ち家で新築・リフォームのタイミングなら検討価値があります
- アルカリイオン水:整水器がつくる水の旧称にあたる言い方です。現在の表示では「電解水素水」が使われています
- 「波動水」「活性水」などの表現:これらは法令上の定義がある用語ではありません。商品ごとに意味が違うため、比較のしようがないのが実情です。判断するなら「何を測って、どういう数値になったのか」が公表されているかを見てください
今日からできること
買い替えを考える前に、現状を把握するのが先です。お金はかかりません。
- 1ヶ月分のレシートを合計する。水・お茶のペットボトル代、サーバーの月額。想像より多いことがほとんどです
- 「何に使いたいか」を先に決める。飲用だけか、料理にも使いたいか。ここで必要な量が決まり、選ぶべき方式も絞れます
- 水道水の使える範囲を確認する。日本の水道水は51項目の水質基準をクリアしています。汲み置きや冷蔵で塩素のにおいは軽減できます
- 設置できるか確認する。賃貸か持ち家か、蛇口の形状、シンク下のスペース。ここで選択肢が変わります
料理に使う水を全部見直すのは大変です。まずは味やにおいの差が出やすい料理だけに絞ると続けやすくなります。
- お茶・だし・炊飯は、水そのものの味が出やすい料理。ここから試すのが効率的です
- 水道水を使うなら、フタを外して10分以上沸騰させるとカルキ臭のもとになる塩素が抜けやすくなります(短時間だと逆にトリハロメタンが増えることがあります)
- お米は最初のひとすすぎだけ意識するだけでも、香りが変わりやすいと言われます
すべてを完璧にしようとせず、差が出やすいところから。これがいちばん現実的です。
まとめ:どの角度から見るかを、先に決める
- 金額の大小より「払い終わりがあるか、ないか」。買い続けるタイプは支払いが続き、つくるタイプは終わりがあります
- 角度を変えると順位は入れ替わります。初期費用・10年後の総額・手間・災害時・設置条件——ご家庭で優先する軸を先に決めるのが近道です
- そして「飲む分だけ」で考えるか「料理も含めて」で考えるか。ここで必要な量が4倍変わり、選ぶべき方式も変わります
当店で扱う還元粋は整水器(家庭用管理医療機器)ですが、ご家庭の事情によっては浄水器や水道水のままが合う場合もあります。「うちの場合はどれが向いているか」を一緒に整理することもできますので、お気軽にご相談ください。