週末に作り置きをして、平日はそれを温めて出す。共働きだと、これが一番現実的な回し方だと思います。
ただ、うまくいかない日があります。
煮物をレンジにかけたら、ジャガイモが崩れて煮汁だけ熱い。ごはんを温めたら表面がパサついて中は冷たい。同じように温めているのに、日によって結果が違う。
原因は温め方ではなく、熱の伝わり方にあります。
レンジで温めると、何が起きているのか
電子レンジはマイクロ波で食品内部の水分を直接振動させて発熱させる方式です。だから速い。ただ、この仕組みには癖があります。
- 水分の多いところが先に熱くなる。煮物なら煮汁、ごはんなら表面の水分から
- 加熱が均一になりにくい。中心と外側、具材ごとに温度差が出ます
- 水分が抜けやすい。加熱された水分は蒸気になって逃げていきます
煮物が崩れるのは、煮汁が先に高温になり、具材が内側から急に加熱されるためです。ジャガイモやカボチャのように崩れやすい食材ほど影響が出ます。
ごはんがパサつくのも同じ理屈です。表面の水分が先に飛び、中まで温まる前に外側が乾く。だから「表面パサパサ、中は冷たい」という状態になります。
今日からできる、温め直しのコツ
道具を変えなくても、やり方だけで変わります。
煮物の場合
- レンジは弱め(500W以下)で長めに。急激に加熱しないほうが崩れにくくなります
- 途中で一度止めて、そのまま数分置く。余熱で中心まで温度が伝わります
- 崩れやすい食材は取り分けて別に温める。ジャガイモ・カボチャ・豆腐は分けたほうが確実です
- 鍋に移して弱火。時間はかかりますが、これがいちばん崩れません
ごはんの場合
- 温める前に、小さじ1程度の水をふりかける。これだけでパサつきが減ります
- ラップはふんわりかける。密閉すると蒸気が逃げず、べたつきます。逆に隙間が多いと乾きます
- 冷凍する時点で平たくする。厚みがあると中心まで温まりません
- 温めたあと1分置く。蒸気が全体に回ります
特に効くのはごはんに水をふることです。冷凍ごはんは水分が抜けているので、戻す分を足してやるという考え方です。
レンジと火の使い分けという選択肢
コツを踏まえても、レンジで戻せる限界はあります。焼き物の表面をパリッとさせる、煮物を崩さず温める、といった場面です。
ここは外から熱を伝える方式のほうが向いています。フライパンや鍋、あるいはラジエントヒーターです。
ラジエントは天板の下のヒーターが赤外線を出し、その熱で加熱する方式です。じっくり均一に温まりやすいのが特徴で、次のような使い方に向きます。
- 煮物を鍋のまま弱火で。崩さず、味も落ちにくい
- 焼き物の温め直し。表面の水分が飛びやすいので、べたつかない
- 土鍋・ホーロー鍋がそのまま使える。作り置きを入れた容器のまま火にかけられます
当店では卓上タイプ(工事不要・置くだけ)とビルトインタイプを扱っています。卓上なら食卓で温め直しながら食べられるので、時間差で帰宅する家族がいるご家庭にも使えます。
ただし正直に書くと、レンジのほうが速いのは変わりません。急いでいる朝はレンジ、夕食は火で戻す——という使い分けが現実的だと思っています。
まとめ
- レンジは水分の多いところから加熱する方式。煮物が崩れる・ごはんがパサつくのはこの癖によるものです
- まずはごはんに水をふる・煮物は弱めで長くから。道具を変えずにできます
- 崩さず戻したいなら外から熱を伝える方式。ただし速さはレンジに勝てないので、使い分けが現実的です
実際に温め直したものを食べていただくと違いが分かりやすいので、気になる方はお声がけください。